イベントの報告
2016 年中部支部設備女子会発足以来、継続して事業開催をしてきた。第 10 回記念事業として、大同大学X棟見学会を実施した。
本年 4 月に東海地区初の「建築学部」が大同大学に開設された。これからの建設業界を担ってくれる若者が学び、集い、考え、活気あふれる教育施設の見学会は、未来につながる記念事業になったと嬉しく思う。
X棟(クロス棟)は、建築を学び、建築の仕事を志す学生が「実物」「本物」に触れることができ、自由に主体的に学ぶ意欲につながる工夫がされていた。構造や作動が見えるスケルトンのエレベーター、ガラス張りの空調機械室の展示、天井を貼らずに冷媒配管やドレン管、ダクト配管、電線が見える作りになっていた。
学園祭前日の見学会であったので、学生が大勢いる中で、どのように施設が使われているかがよくわかった。どの学生も楽しそうであり、たくさんの共有スペースでテーブルや椅子で、学び合ったり談笑したり、一人集中しレポートを書いたりしている姿が見られた。「こんな大学だったら、学生が来たくなるよね!」という参加者の言葉通りであった。
当日は、中部地方以外に東京・神奈川・滋賀等、遠くからの参加者もいた。第 1回~10 回まで、これまでの事業参加者は延べ 186 社、367 人になった。今回も定員を超える申し込みがあったが、見学先の了承が得られ、なんとか全員に参加してもらうことができた。教室は参加者で満席であり、隣の教室から机と椅子を運んで席を増やしていただいた。
交流会では、講師の佐藤様、管財室の倉橋様にも来賓としてご出席いただき、更に詳しく設備概要について話を伺うことができた。異なる企業で、様々な職種ではあるが、設備に関わる女性達が男性とともに気楽に話ができ、建築設備士への学習情報を交換している。
発足してからの8年間、建築設備技術者協会中部支部の『女性の問題を女性だけのものにしない』という、心ささやかにして寛大な配慮と大きなバックアップが継続してあったことを深く感謝している。
見学会の模様が掲載された新聞記事はこちらからご覧いただけます ≫
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第10回記念事業 主催者挨拶
中部支部設備女子会代表 藤原(井内)永知子 抜粋
建設業界全体の高齢化が進み、若者の入職が減り続け、現在は若年層の取り込みに各企業・各団体が知恵を絞り、定着を図ろうとさまざまな努力をしています。私は、本来、建設業はもっと魅力的な分野であるはずだと思っています。『建設的な議論・建設的な意見』という時の『建設』という言葉の意味を調べてみますと、「できない言い訳ばかり言うのではなく、目的を達成するためにはどうするか、建物を造るように一つひとつ考えていく」「その事の良さを積極的に認めた上でさらに推し進めようとするさま。現状をより良くしていこうと、積極的な態度でのぞむさま。」「建物の完成を目指して計画や役割などを考えていき、大勢の力を合わせて進める。次につながる仕事ができるように考えること。」このような意味があります。これが、まさに『建設』です。たてものをつくるということは、この『建設』という本来のことばの持つ意味を具現化することです。もう一度言いますが、私は本来、建設業はもっと魅力的な分野で、女性・男性に関わらず、若者が憧れる職業であってよいはずだと思っています。その中で、先月の4月に、東海地区初の「建築学部」がこの大同大学に開設されました。中部支部設備女子会の記念すべき第 10 回事業にふさわしい未来につながる見学会になったのではないかとうれしく思っています。
『設備女子会』という 2012 年に関東本部で付けられたネーミングはとてもシンプルです。愛知・岐阜・三重・静岡を範囲とする中部支部で、女子という名がつけられた会を運営する方法や役割、存在意義等を男性も含めた運営委員会で折にふれ話し合い、さまざまな意見を集約し、巡り巡って「中部支部設備女子会」という至極わかりやすい名称のままでよいという結論に達し活動してきました。そして、私は、活動していくうちにこの「女子会」というシンプルな名前が気に入るようになりました。しかし、「女子会」という名を中部支部で正式に使用していることを、いろいろな考えの方に対し、まずは、あらゆる誤解が無きように〔ダイバーシテ ィ・エクイティ&インクルージョンの概念や LGBTQ+の理解はしているが、敢えて女子会という名前を使っています〕とみなさんにお伝えしたいのですが、発言の一部を切り取られた有名人や政治家のちょっとした失言や表現の不適格さをおもしろおかしくマスコミが言葉狩りをするような報道があると、女子会代表の私は悩みが再燃し、あちこちからがんじがらめにされているような感覚にすら陥ってしまいます。
中部支部設備女子会は、男性が産んだ女子会です。そして、設立からずっと一貫し、全国で唯一、運営委員に男性もいる女子会として活動し、8 年間で 10 回の事業の開催ができました。関東本部・各支部にある全国の設備女子会の中でも、中部支部の取組みはファーストペンギンであると自負しています。女性に選ばれない職業は廃れると言われていますが、同じく男性に選ばれない設備女子会は廃れると考えています。つまり多様性が無い集団はいつかどこかで先細りになってしまうということです。男性・女性どちらが産んでも、協力して協働して育てるには変わりがないのではないかと、育児経験と会を維持運営するという経験で、よく似ているのではないかと感じています。
男女共同参画やダイバーシティ実現というととても難しい問題だと捉えられがちですが、建設業に携わり、本来の建設的という言葉を仕事としている私たちには、そうでもなくて、言葉通り、その事の良さを積極的に認めた上で、さらに推し進めようと、現状をより良くしていこうと、積極的な態度で臨み、完成を目指して計画や役割などを考えていき、大勢の力を合わせて進め、次につながる仕事が出来るように考える。意見の違う人たちと折り合いをつけながら、物事を進めていくということは、建設業もダイバーシティ実現も同じだと思 っています。これまで、男性が主体でやってきた建築設備士を中心とした職能団体である建築設備技術者協会の活動の歴史に敬意をはらい、女子会事業であっても協会の品格を保つ事業開催をする責任と覚悟の上で、中部支部設備女子会は活動を続けてきました。
建築設備に関わる企業に勤務し、それぞれいろんな職種で仕事をする業界人が、しっかり学び、楽しく集い、“女子会という名称の下で”ふんわりと横につながることで、複眼的な視点を増やしたり、多角的な角度から考えたりして、それぞれの仕事に役立てて欲しいと思っています。中部支部設備女子会の活動と大同大学建築学部の開設が、中部地方発信のバタフライエフェクトとして、未来の建設業界の色合いを増やし、業界全体を変えられるのではないかと楽しみにしています。 ≪以上、当日あいさつ抜粋≫
イベント概要
2024年4月東海地区初の「建築学部」が、大同大学に開設されます。Ⅹ棟(クロス棟)の新校舎は、学生が実物本物に触れることで、建築を主体的に自由に使いながら学ぶ生きた教材となっています。今回は、キャンパス内の最新設備を中心とした見学会を開催します。
㈱日建設計 佐藤様を講師にお迎えし、講義をしていただいた後、見学をします。非常に貴重な機会となります。ぜひご参加ください。
主催 | (一社)建築設備技術者協会中部支部 設備女子会 |
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後援 | (公社)空気調和・衛生工学会中部支部 (一社)日本空調衛生工事業協会東海支部 (一社)電気設備学会中部支部 (一社)日本電設工業協会東海支部 (一社)日本設備設計事務所協会連合会東海ブロック協議会 (一社)日本建築学会東海支部 ※順不同 |
講師 | ㈱日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ・佐藤孝広様 |
日程 | 2024年5月24日(金) |
時間 | 14:00~16:30(時間は予定) |
会場・場所 | 大同大学 Ⅹ棟(教室未定) 名古屋市南区滝春町 10-3(名鉄大同町駅から徒歩3分) |
集合場所 | 大同大学 Ⅹ棟 入口(13:45 受付開始) |
定員 | 30名(申し込み先着順〈設備女子会 会員優先〉・定員が大幅に超えた場合は、調整させていただく場合があります) |
参加費 | 無料(現地までの交通費は各自負担) |
申込締切 | 2024年5月9日(木) |
交流会・懇親会 | 日程:2024年5月24日(金) 時間:17:30~19:30(集合 17:20) 場所:サヴァサヴァ(名古屋市熱田区金山町1-2-8) アクセス:JR・名鉄「金山駅」南出口から東へ徒歩1分 参加費:4,400円(税込)インボイス対応の領収書お出しします |
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